夜猫ジュブナイルという青春の写身
突然ですが、ジュブナイル、という言葉にどういう印象を持ってますか?
ウィキペディアによれば、
ジュブナイル (juvenile) は、ティーンエイジャーを対象とする修飾詞。(中略)
日本では略して「ジュブナイル」だけで、児童あるいはヤングアダルト向けジャンルの呼称として使われている。
ということだそうで。
ようするに、思春期の少年少女の物語という感じでしょうか。
で、本題。
カクヨムに、その名もズバリ『夜猫ジュブナイル』という作品があるのですが、今日はその紹介のブログです。
この物語の主人公は、音楽が好きだが特徴もない。発展性もない。
きっと、大した未来も待っていないと自分を考えている少年、三田村真也。
彼の人生の転機は進路相談と白紙の進路希望から始まります。
白紙の希望進路
まずこの状況からして思春期の少年の大いなる自由と不安が浮き彫りになっていて、
グサっとくるんですよね。
自分の未来を決められないままの少年。
その真っ白な未来のビジョンが、彼を黒い夜へと走らせる。
で、そんな夜に彼は謎の転校生であったクラスメイトの長瀬夜子と出会い、
自分が黒猫になってしまっていたことに気がつくわけです。
この世界ではそんな悩みを持った人々が、なにかしら姿を変えてしまう現象があると。
そうして長瀬夜子とその叔父である探偵の呉末明、
彼らの話から自らの身に起こったことを知り、
三田村くんの思春期が動き出していく。
その後、彼以外にも不思議な姿に変わる少年少女たちが現れるのですが、
彼らもまた、それぞれに悩みを抱え、変わってしまった存在なんですよね。
その誰もが、どこにでもある『自分』と他人との関係に悩む少年少女であり、
だからこそ、三田村くんや長瀬、そしてその他の面々との出会いで彼らが自分を受け入れていく姿に心を打たれるわけです。
そしてその中での、三田村くんと長瀬の関係。
それぞれの想いは物語において重要でありながら、表には出せないもどかしさもあり、それがラストの展開につながっていくという……。
起こっていることは特別だけど、その感情は特別なわけではない。
どこを切ってもどこかにありそうな、だからこそ普遍的で尊い思春期。
どこにでもあり、誰もが違う。
まさにそういった物語が、この夜猫ジュブナイルなのです。
夜猫ジュブナイル(佐々木匙) - カクヨム みんなも読もう!
余談
作者の佐々木匙さんは第4回角川文庫キャラクター小説大賞読者賞を受賞している
作家の卵(まだ本自体は出ていないため)なので、
先物買い的にも今のうちに読んでおいて損はないですぞ!
このたび「帝都つくもがたり」にて第4回角川文庫キャラクター小説大賞読者賞をいただきました。
— 佐々木匙@やったー (@sasasa3396) September 27, 2018
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