Webスペースの無駄使いのその2

色でいうならば灰色

クロニクルの外側で

その一方で、このエピソードの中で違和感めいた存在として各所に挟まれるのがヤモト・コキである。
一見すると巻き込まれただけであり、彼女の話だけ浮いているようにも思えるし、
これはヒュージに焦点が当たることでますますそう感じられるだろう。
だが、考えてみればそれも当然だ。
ヒュージの過去に捕われるこのエピソードにあって、彼女は自らの力で未来を守りぬくのである。
スペクターの見せた幻影と、それを振り払いアサリ=サンを助けることはまさにそれを象徴している。
それが敢えてこのヒュージ・クロニクルに挿し込まれることで、
その対比はまさに際立つものとなる。
過去に生かされた者と未来に生きる者の明暗。
まったく接点のない二人がほんのわずかに交錯するのは、まさに第三部のテーマといえるのかもしれない。
そしてもう一人、過去と未来の間にいるのがラオモト・チバである。
ヤモトが未来を守れたのに対し、チバはまた一つ手元にあった過去を失うこととなった。
作中でもずっとヒュージを気にかけていただけに、その喪失と決断はなかなかに厳しい。
原作でもまだ決着のついていない二人だけに、今後どのような結末を迎えるのか……
未来はまだ見えない。