Webスペースの無駄使いのその2

色でいうならば灰色

ブックカバーの話

自分が愛用している黒と茶色のブックカバーがある。
革なのか布なのかよくわからないが、もうかれこれ10年使っている物だ。
そうは言うが、なんら特別な由来はない。
10年前、手汗で本のカバーがすぐ痛むから、それ対策に買った物だ。
買った先もなんてことはないスーパーの中にあった100円ショップだし、
色についても思い入れもへったくれもなく、あったのがその二色だけだったまでのこと。
だがもう10年である。
10年経てば色々ある。
家は引っ越したし、
カバーを買ったその100円ショップは100メートル先で大型店舗に、
逆にそのスーパーは撤退して今は家電量販店になっている。
そして高校生だったじぶんには、あの頃は、そこまでが世界だった。
100円ショップも珍しかったし、高校生が移動できる世界などたかが知れている。
ましてや金もない。
お似合いのブックカバーだったのだろう。
だが、そのカバーに包まれて、何冊の本を読んだだろうか。
立派でもない大人になって相変わらずの日々である。
大学、大学院と電車の中では読書に耽ったし、
今日もまた、そのカバーでもって風呂場で本を読んできた。
同じ本を同じカバーで読んでも、感じることは全く違うものだ。
文庫本がある限り、本を読み続ける限り、このカバーと読んでいきたいと思う。